デイサービスにおける作業療法士(OT)の役割とは?リハビリと生活支援のプロとしての重要性を解説

デイサービスには看護師や介護職員に加えて、理学療法士(PT)や作業療法士(OT)、言語聴覚士(ST)といったリハビリ専門職が配置される場合があります。
なかでも作業療法士は、日常生活の動作や活動に焦点を当てたリハビリを得意とし、利用者の「できること」を広げる重要な役割を担っています。
本記事では、デイサービスにおける作業療法士の役割を具体的に紹介し、介護現場で果たす意義や多職種との連携のポイントについて詳しく解説します。
作業療法士(OT)とは?
作業療法士は国家資格を持つリハビリ専門職で、医療・介護の分野で広く活躍しています。
理学療法士(PT)が主に「歩く」「立つ」といった基本動作を支援するのに対し、作業療法士は 「食べる」「着替える」「趣味を楽しむ」など生活に直結した活動の改善 をサポートします。
そのため、デイサービスでの役割は利用者の生活全体を支えることに直結します。
デイサービスにおける作業療法士の役割
1. 日常生活動作(ADL)の維持・向上
作業療法士は、利用者が自分らしい生活を送れるように、食事・更衣・整容・排泄・入浴といった日常生活動作を評価・訓練します。
- ボタンの掛け外し練習
- 箸やスプーンを使った動作訓練
- トイレ動作の模擬練習
これらを通じて、できることを維持・向上させることが可能です。
2. 趣味活動・社会参加の支援
「園芸」「手芸」「書道」「料理」など、利用者の趣味や生きがいを支える活動を取り入れるのも作業療法士の役割です。
趣味活動を通して指先の巧緻性(細かい動き)を鍛えたり、認知症の方に安心感を与えることもできます。
3. 認知症へのアプローチ
作業療法士は認知症の方に対して、回想法や認知課題、役割づくりなどを活用して生活意欲を高める支援を行います。
例:昔の写真を見ながら会話を促す、簡単な作業を一緒に行う、など。
4. 福祉用具・環境調整の提案
手すりの位置、椅子やテーブルの高さ、食器や自助具の選定など、生活環境を整える提案も得意分野です。デイサービスだけでなく自宅環境への助言も行い、生活の安全性と自立度を高めます。
5. 心理的サポート
「もうできない」と自信を失いがちな高齢者に対して、できることを一緒に見つけて支えるのも重要な役割です。活動を通して達成感を得られるよう支援することで、うつ予防や意欲向上にもつながります。
作業療法士と他職種の連携
介護職員との連携
介護職員が日常の介助を行いやすくなるように、作業療法士が介助方法を指導することがあります。正しい介助方法を共有することで、職員の腰痛予防や事故防止にも役立ちます。
看護師との連携
服薬管理や健康状態を看護師と情報共有しながら、利用者が安全に活動できるよう支援します。
理学療法士(PT)との連携
PTが歩行や筋力訓練を担当し、OTが生活動作を中心に支援することで、包括的なリハビリを提供できます。
デイサービスに作業療法士がいるメリット
- 利用者の生活の幅が広がる
「歩ける」だけでなく「料理ができる」「趣味を続けられる」といった生活機能の維持につながる。 - 介護負担の軽減
利用者が自分でできることが増えると、家族や介護職員の負担も減少する。 - 認知症ケアに強い
回想法や作業活動を通じて認知症利用者の意欲や安心感を引き出せる。
まとめ
デイサービスにおける作業療法士の役割は、単なるリハビリにとどまらず、利用者の生活全体を支えることにあります。ADLの維持・向上、趣味活動の支援、認知症ケア、福祉用具の提案、心理的サポートなど幅広い役割を担っています。
作業療法士が関わることで、利用者は「できること」を増やし、自信や生きがいを取り戻すことができます。また、介護職員や家族にとっても大きな支えとなる存在です。
デイサービスを選ぶ際には、作業療法士が配置されているかどうかも安心して利用できる大きなポイントといえるでしょう。