デイサービスで迎えに行ったら出てこない…原因と対応策を徹底解説

デイサービスの送迎は、高齢者の在宅生活を支える大切なサービスです。
しかし現場では、「迎えに行ったのに利用者が出てこない」「送迎車が到着しても準備ができていない」といった場面が珍しくありません。
送迎時間の遅れは他の利用者や家族にも影響を及ぼし、職員にとっても悩みの種になります。
本記事では「デイサービスで迎えに行ったら出てこない」という状況がなぜ起こるのか、その主な原因を整理し、デイサービス職員が取れる具体的な対応策や、ご家族が安心して利用できるための工夫を詳しく紹介します。
デイサービスで迎えに行ったのに出てこない状況とは?
デイサービスの送迎では、基本的に事前に決められた時間にスタッフが利用者宅を訪問し、出発の準備を確認したうえで車に乗っていただきます。しかし現場では、予定通りに利用者が玄関に出てこないケースがしばしば発生します。
この状況は単に「遅れている」という問題にとどまらず、以下のような影響を与えます。
- 他の利用者の送迎時間がずれる
- デイサービス到着時間が遅れ、朝の活動や健康チェックに支障が出る
- 職員の残業やスケジュール調整の負担が増える
- ご家族との信頼関係に悪影響を及ぼす可能性がある
送迎トラブルは介護サービス全体の印象を左右する大きな課題です。そのため、原因を把握し、的確な対応をとることが求められます。
出てこない原因を整理する
認知症による時間感覚のずれ
認知症を持つ方は、「今日はデイの日」という認識が抜け落ちたり、時間の概念があいまいになることがあります。そのため送迎スタッフが訪問しても、「今日は行かない」「今から支度する」といった反応が返ってくることがあります。
体調不良や睡眠不足
高齢者は体調の変化が起こりやすく、朝の段階で「眠い」「だるい」と感じるだけで準備が遅れることがあります。特に前日の夜に眠れなかった場合や服薬の影響で動作が鈍い場合は、時間通りに動けません。
家族の支援不足
同居家族が準備を手伝う場合、家事や仕事の都合で間に合わないことがあります。一人暮らしの高齢者はさらに準備に時間がかかり、送迎時刻に間に合わないことも珍しくありません。
本人の心理的抵抗
「今日は行きたくない」「気分が乗らない」といった心理的理由も大きな要因です。人間関係への不安、施設での活動への抵抗感などが重なると、「迎えが来ても出たくない」という状態につながります。
支度に時間がかかる
衣服の着替えや排泄、服薬などに時間がかかり、送迎時間に間に合わないケースも多いです。介護度が高い方ほど支度に手間がかかりやすい傾向があります。
出てこないときにデイサービス側ができる対応
1. 声かけを工夫する
利用者が安心して出発できるような言葉を選びましょう。
「今日は○○さんも来ていますよ」「楽しいレクリエーションの日ですよ」といった具体的で前向きな声かけは効果的です。認知症の方には「今日はデイの日です」と繰り返し伝えることも有効です。
2. 家族への事前連絡と協力依頼
ご家族に「出発準備に時間がかかることがあるので、少し早めに声をかけていただけますか」と依頼することで、遅延を防ぐことができます。特に入浴日やイベントの日は準備が必要になるため、前日のうちから共有しておくと安心です。
3. 柔軟な送迎ルート調整
一人の利用者に時間がかかりすぎると、全体の送迎スケジュールに遅れが生じます。状況に応じて他の利用者を先に送迎し、後から再度迎えに行くなどの柔軟な対応も必要です。
4. 記録と情報共有
「出てこないことが多い利用者」のケースは記録を残し、スタッフ間で共有しましょう。対応マニュアルを作ることで、送迎ドライバーや職員が誰でも同じように対応できる体制が整います。
ご家族ができる工夫
前日の準備を整える
衣類や持ち物を前日の夜のうちに準備しておくと、朝の支度がスムーズになります。服薬のタイミングや体調管理も前日のうちに確認しておくと良いでしょう。
声かけの習慣化
朝の決まった時間に「今日はデイの日だよ」と繰り返し伝えることで、本人も意識しやすくなります。
デイサービスに相談する
「朝なかなか準備が進まない」といった悩みは職員に相談して構いません。利用者に合わせた対応策を一緒に考えることで、スムーズな利用につながります。
迎えに行っても出てこないときの注意点
無理やり連れ出さない
心理的に拒否している利用者を強引に連れ出すことは逆効果です。安心感を与える声かけや時間を置く対応が求められます。
安全確認を優先する
体調不良で動けない場合もあるため、様子がおかしいと感じたら家族に連絡し、必要に応じて医療機関へつなぐ対応を検討します。
まとめ
「デイサービスに迎えに行ったら出てこない」という場面は、多くの現場で経験される問題です。認知症による時間感覚のずれ、体調不良、準備不足、心理的抵抗など原因はさまざまですが、職員の声かけの工夫、家族との連携、柔軟な送迎体制の工夫によって改善することができます。
送迎がスムーズに行えるようになれば、利用者にとっても安心してデイサービスに通える環境が整い、ご家族や職員の負担も軽減されます。現場全体での取り組みと工夫こそが、快適で安全なサービス提供につながるのです。