デイサービス送迎時の急変対応とは?職員の対応手順と家族が知っておきたいポイント
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デイサービス(通所介護)では、自宅と施設をつなぐ送迎サービスが日常的に行われています。
利用者の高齢化や持病の増加に伴い、送迎中に「急に具合が悪くなった」「車内で意識を失った」などの 急変 が起こる可能性はゼロではありません。
送迎時の急変対応は、事業所の信頼性に直結する重要な課題であり、利用者や家族にとっても安心材料となります。
この記事では、デイサービスの送迎時に起こりうる急変の事例、職員が行うべき対応手順、そして家族が知っておくべき確認ポイントについて詳しく解説します。
目次
デイサービス送迎時に起こりやすい急変とは?
送迎中は移動のストレスや体位変化によって、体調が急に悪化することがあります。よくある事例は以下の通りです。
1. 意識消失・失神
- 車に乗る際や乗車中に突然の意識喪失
- 心疾患・脳血管疾患が背景にある場合も
2. 呼吸苦・誤嚥
- 車内で咳き込み、誤嚥による呼吸困難を起こすケース
- COPDや気管支疾患を持つ方に多い
3. 胸痛・胸部不快感
- 狭心症発作や心筋梗塞の前兆として現れることがある
4. 嘔吐・吐血・下血
- 胃腸障害や服薬の副作用による急な嘔吐
- 消化管出血の可能性も
5. 転倒・外傷
- 車への乗降時に転倒して頭部外傷・骨折
6. 低血糖・発作
- 糖尿病患者のインスリン管理不良による低血糖
- てんかん発作による意識障害
→ これらは 送迎職員が最前線で対応することになるため、マニュアル整備と訓練が不可欠 です。
職員が取るべき急変時対応の基本手順
STEP1:安全の確保
- まず車を安全な場所に停車(路肩や駐車場)
- 他利用者の安全も同時に確保
STEP2:利用者の状態確認
- 意識レベル(呼びかけに反応があるか)
- 呼吸・脈拍の有無を確認
- 観察内容を簡潔に記録
STEP3:応急対応
- 無呼吸・心停止 → 直ちに心肺蘇生法(AED活用)
- 呼吸苦 → 体位調整(前傾姿勢・側臥位など)
- 嘔吐 → 誤嚥防止のため頭部を横に向ける
- 低血糖疑い → ブドウ糖ゼリーなどを使用(意識がある場合)
STEP4:救急要請・連絡
- 119番通報で救急車を要請
- 施設管理者・看護師へ報告
- 利用者家族へ連絡
STEP5:同行・引き継ぎ
- 職員が救急車に同乗し、施設や家族と情報を共有
- バイタルや急変状況を正確に伝える
デイサービス事業所に求められる取り組み
1. 急変対応マニュアルの整備
- 想定される事例ごとの対応手順を文書化
- 送迎職員・介護職員全員が把握できる仕組みづくり
2. 職員研修
- 心肺蘇生法(BLS)・AED操作訓練の定期実施
- 呼吸苦や低血糖など、疾患別対応のロールプレイ
3. 車内設備の充実
- AEDの常備(地域の助成制度活用も可能)
- 嘔吐処理セット、手袋、マスク、タオルの備え付け
- 緊急連絡先リストの常備
4. 医療機関との連携
- 急変時に搬送可能な病院を事前に確認
- 地域包括支援センターや訪問看護との情報共有
家族が知っておくべき確認ポイント
デイサービスを選ぶ際、送迎体制や急変対応の質を確認することは非常に重要です。
- 送迎時の 急変対応マニュアルが整備されているか
- 職員が 救命講習を受けているか
- 車両に AEDや応急処置セットが搭載されているか
- 急変時の連絡フロー(家族への連絡方法)は明確か
- 医療機関との連携体制が整っているか
これらを確認することで、安心してサービスを利用できます。
送迎時急変への備えと課題
利用者側の課題
- 持病や既往歴を十分に伝えていないケース
- 薬の飲み忘れや体調不良を申告しないケース
事業所側の課題
- 職員の医療知識不足
- 人手不足で送迎時に複数職員を配置できない
- AEDや救命セットの整備が不十分
→ 双方の情報共有と準備が不可欠です。
まとめ
- デイサービス送迎時は、意識消失・呼吸苦・低血糖・転倒など急変が起こり得る。
- 対応手順は ①安全確保 → ②状態確認 → ③応急処置 → ④救急要請 → ⑤引き継ぎ が基本。
- 事業所には マニュアル整備・職員研修・車内設備・医療連携 が求められる。
- 家族は利用前に「急変対応力」を確認し、安心できる事業所を選ぶことが大切。
送迎は利用者の命を預かる重要な時間帯です。事業所と家族が協力して準備を進めることで、急変時の不安を最小限に抑えることができます。