機能訓練指導員と作業療法士の違いとは?役割・資格・仕事内容をわかりやすく解説
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介護施設やデイサービスのパンフレットでよく目にする「機能訓練指導員」という職種。
一方で、病院やリハビリ分野で活躍する「作業療法士(OT)」も聞き慣れた専門職です。
両者は似たイメージを持たれがちですが、実際には資格・役割・働く場所に違いがあります。
この記事では、機能訓練指導員と作業療法士の違いをわかりやすく解説し、利用者やご家族が理解しやすいよう比較表も交えて説明します。
目次
機能訓練指導員とは?
定義
機能訓練指導員とは、介護保険制度に基づき、介護施設(デイサービス・特養・有料老人ホームなど)で心身機能の維持・向上を目的とした訓練を行う職員 を指します。
資格要件
「機能訓練指導員」という独立した資格はなく、以下の資格を持っている人がその役割を担えます。
- 作業療法士(OT)
- 理学療法士(PT)
- 看護師・准看護師
- 柔道整復師
- あん摩マッサージ指圧師
つまり、作業療法士も機能訓練指導員になれる資格のひとつ なのです。
主な仕事内容
- 個別機能訓練計画書の作成
- 利用者の身体機能や生活状況の評価
- 集団体操や個別の機能訓練の実施
- 職員への助言や指導
- 日常生活動作(ADL)の維持・改善サポート
作業療法士(OT)とは?
定義
作業療法士は、国家資格を持つリハビリテーション専門職 で、身体や精神に障害のある人に対して「作業活動」を通じて心身機能や生活能力を高める支援を行います。
資格要件
- 3〜4年制の養成校で学び、国家試験に合格する必要がある
- 医療系の国家資格であり、医師の指示のもとで働く
主な仕事内容
- 食事・着替え・入浴などの日常生活動作(ADL)の練習
- 認知機能・高次脳機能の改善支援
- 趣味や就労活動の支援(IADL)
- 精神障害や発達障害へのリハビリテーション
- 自助具や福祉用具の活用提案
機能訓練指導員と作業療法士の違いを比較
項目 | 機能訓練指導員 | 作業療法士(OT) |
---|---|---|
定義 | 介護施設で機能訓練を担う役割名 | 医療系の国家資格 |
資格 | OT・PT・看護師・柔整師などがなれる | 作業療法士国家資格のみ |
主な職場 | デイサービス、特養、有料老人ホームなど | 病院、クリニック、介護施設、精神科、学校など |
業務範囲 | 介護保険の枠内での機能訓練、ADL維持 | 医療リハビリから社会参加支援まで幅広い |
法的位置づけ | 介護保険制度の人員配置基準に定めあり | 医療法・理学療法士作業療法士法に基づく |
サービス対象 | 主に要介護高齢者 | 高齢者・身体障害者・精神障害者・小児など幅広い |
デイサービスではどうなるの?
デイサービスでは、介護報酬上 「機能訓練指導員の配置」 が求められます。
この役割を担うのが作業療法士であった場合、その人は「作業療法士」であると同時に「機能訓練指導員」として働くことになります。
つまり、
- 病院 → 作業療法士(OT)
- デイサービス → 機能訓練指導員(OT資格を持っている人)
と肩書きや役割の呼び方が変わるのです。
両者の関係性まとめ
- 機能訓練指導員は「介護施設での役割名」
- 作業療法士は「国家資格を持つリハビリ専門職」
- OTも機能訓練指導員として働けるが、逆に機能訓練指導員=必ずしもOTではない
まとめ
- 機能訓練指導員と作業療法士は、制度的にも資格的にも異なる立場
- 機能訓練指導員は役割名であり、OTを含む複数の専門職が担える
- 作業療法士は国家資格を持つ専門職で、医療から介護まで幅広く活躍
- デイサービスでは、作業療法士が機能訓練指導員を兼任している場合も多い
違いを理解することで、利用者や家族は「どんな専門職が支援に関わっているのか」を見極めやすくなり、サービス選びの参考にもなります。