デイサービス利用中の事故とは?種類・原因・対応・再発防止策まで徹底解説

デイサービスは高齢者が安心して日中を過ごせる場所として、多くの方に利用されています。
しかし現場では「転倒」「誤嚥」「送迎時のトラブル」など、さまざまな事故が発生する可能性があります。
事故が起きると利用者本人の安全に関わるだけでなく、家族や事業所との信頼関係、さらには事業所の運営そのものにも影響を与えかねません。
本記事では、デイサービス利用中に起こり得る事故の種類や原因、事故発生時の正しい対応、そして再発防止のための取り組みについて詳しく解説します。
デイサービス利用中に起こりやすい事故の種類
転倒・転落事故
もっとも多いのが転倒や転落です。歩行中のバランス崩し、椅子からの立ち上がり、トイレ移動時のつまずきなどが典型例です。浴室や段差のある場所は特に注意が必要です。
誤嚥・窒息
食事や水分補給の際に誤嚥が起こり、窒息や肺炎につながることがあります。嚥下機能が低下した高齢者は特にリスクが高く、食事介助の方法や食形態の工夫が欠かせません。
送迎時の事故
送迎車への乗降時の転倒や、道路での接触事故も発生する可能性があります。車椅子の固定忘れやシートベルトの不備といったヒューマンエラーも要因の一つです。
医療関連の事故
服薬間違い、血圧測定機器の誤操作、インスリン注射や酸素投与中のトラブルなど、医療ケアを含む利用者に関しては医療関連の事故も発生し得ます。
施設内での接触・トラブル
利用者同士の接触や口論が転倒やケガに発展することもあります。認知症による行動・心理症状(BPSD)が背景にあるケースも少なくありません。
デイサービス利用中に事故が起こる原因
環境要因
- 床の滑りやすさや段差
- 手すりや柵の不足
- 照明の暗さによる視認性の低下
利用者要因
- 加齢に伴う筋力・バランス能力の低下
- 認知症による判断力・注意力の低下
- 薬の副作用によるふらつきや眠気
職員要因
- 人員不足による見守り不足
- 介助方法の不適切さ
- 職員間の情報共有不足
システム要因
- リスクアセスメントが不十分
- 事故発生時のマニュアル未整備
- 家族への情報提供不足
事故発生時にデイサービスが取るべき対応
1. 利用者の安全確保
まずは利用者の状態を確認し、必要であれば応急処置を行います。転倒時は無理に動かさず、意識や出血の有無を確認することが重要です。
2. 医療機関への連絡・受診
状況に応じて救急要請や主治医への連絡を行います。骨折や頭部外傷が疑われる場合は速やかに医療機関へ搬送する必要があります。
3. 家族への連絡
事故内容と対応状況を正確に家族へ報告し、今後の対応についても相談します。隠すことは信頼関係の崩壊につながるため、誠実な説明が不可欠です。
4. 事故報告書の作成
介護保険事業所では、事故が起きた際に「事故報告書」を作成し、事業所内で共有することが義務付けられています。重大事故の場合は市町村や保険者への報告も必要です。
再発防止のためにできること
環境整備
- 床の滑り止め対策
- 手すりの設置
- 段差解消や照明の明るさ調整
職員研修
- 正しい介助方法の習得
- 誤嚥予防のための食事介助研修
- リスクアセスメントの徹底
情報共有
- カンファレンスでの事故事例共有
- ヒヤリ・ハット事例の蓄積
- 家族への情報フィードバック
利用者への予防的取り組み
- 転倒予防の運動プログラム導入
- 嚥下体操や口腔ケアの実施
- 排泄リズムの把握と支援
家族ができる事故予防への協力
健康状態の共有
体調の変化や服薬内容を事前に施設へ伝えることで、リスクを減らせます。
装備の工夫
滑りにくい靴や杖の持参、嚥下に配慮した食材の準備など、家庭側でできる支援も重要です。
サービス選び
看護職員の配置状況や事故対応マニュアルの有無を確認することで、安心して任せられる事業所を選べます。
まとめ
デイサービス利用中の事故は「転倒」「誤嚥」「送迎時のトラブル」など多岐にわたり、原因も環境・利用者・職員・システムと複雑に絡み合っています。事故はゼロにはできませんが、迅速な対応と再発防止策の徹底によって被害を最小限にすることが可能です。
利用者・家族・職員が一体となって安全対策に取り組むことで、デイサービスを安心して利用できる環境が整っていきます。事故が起きたときにどう対応するか、そして未然に防ぐためにどう工夫するかが、今後ますます重要になっていくでしょう。